岩手の郷土料理『まめぶ汁』とは?由来・作り方・地域文化を徹底解説

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岩手県北部・久慈市を代表する郷土料理「まめぶ汁」。
甘い黒砂糖とクルミを包んだ団子が、醤油ベースの出汁に浮かぶユニークな汁物として知られています。
2013年のNHK朝ドラ『あまちゃん』にも登場し、全国的に注目を集めたこの料理は、味だけでなく、地域の歴史や文化を色濃く映し出す存在です。
この記事では、まめぶ汁の由来や作り方、食べられる場所、岩手の食文化との関わりまで、じっくりとご紹介します。

目次

まめぶ汁とは?岩手県久慈市発祥の郷土料理

まめぶ汁の特徴

まめぶ汁とは、岩手県北部の久慈市周辺で古くから食べられている伝統的な郷土料理です。特に特徴的なのは、「まめぶ」と呼ばれる小麦粉の団子の中に、砕いたクルミと黒砂糖を詰めた具材が入っている点です。この団子を醤油ベースの汁に入れて煮込むことで、甘さとしょっぱさが同時に楽しめる、非常にユニークな味わいになります。

まめぶ汁は見た目こそ地味ですが、奥深い味と食文化の背景を持つ料理として、地元では長年愛され続けています。

名前の由来

「まめぶ」という名前は、岩手の方言で「豆のように小さいもの」という意味があります。団子が小さくて丸い形をしていることから、この名がついたとされています。

『あまちゃん』で全国区に

2013年に放送されたNHK連続テレビ小説『あまちゃん』で、主人公の出身地である「北三陸」の名物料理としてまめぶ汁が登場したことにより、全国的な知名度を獲得しました。ドラマのロケ地である久慈市は「まめぶ汁の町」として一躍有名になり、観光客の訪問も増加しました。

まめぶ汁の歴史と文化的背景

岩手県久慈市・山形町が発祥

まめぶ汁の起源は、岩手県久慈市の山形町にあります。この地域は山間部に位置しており、冬の寒さが非常に厳しいため、保存食や栄養価の高い食材が重宝されてきました。黒砂糖やクルミ、小麦粉など、長期保存が可能で入手しやすい食材を活用して、冬を乗り越える知恵として生まれたのが「まめぶ汁」です。

行事や祭事の「ハレの日」の料理

まめぶ汁は、単なる日常食ではなく、特別な日に食べられる「ハレの日」の料理として親しまれてきました。正月、結婚式、法事などの冠婚葬祭の席で振る舞われることが多く、地域の重要な文化の一部として根付いています。

「甘じょっぱい」味に込められた意味

まめぶ汁の最大の特徴とも言える「甘い団子をしょっぱい汁に入れる」という味の組み合わせは、人生の甘さと苦さを同時に味わうという象徴的な意味合いを持っているとされています。このように、料理そのものに人生観が込められていることは、郷土料理ならではの魅力と言えるでしょう。

家庭で作れるまめぶ汁の基本レシピ

材料(4人前)

材料分量
小麦粉100g
適量
黒砂糖適量(小さく刻む)
クルミ適量(粗く刻む)
ごぼう1/2本(ささがき)
にんじん1/2本(細切り)
しいたけ2枚(スライス)
油揚げ1枚(短冊切り)
鶏肉100g(小さく切る)
醤油大さじ2
みりん大さじ1
大さじ1
だし汁800ml

作り方

  1. 小麦粉に水を加え、耳たぶ程度の柔らかさになるまでこねて生地を作る。
  2. クルミと黒砂糖を合わせて小さくまとめ、1で作った生地で包んで団子状に成形する(これがまめぶ)。
  3. 鍋に油をひき、鶏肉と野菜類を軽く炒める。
  4. だし汁を加え、材料が柔らかくなるまで中火で煮る。
  5. まめぶを加えてさらに10分ほど煮込む。
  6. 醤油、みりん、酒で味を調えて完成。

まめぶ汁が味わえる岩手の名所

まめぶ汁を食べられる場所

  • やませ土風館(久慈市):観光客向けに郷土料理を提供するレストランで、まめぶ汁が名物料理として出されています。
  • ふるさと体験村(山形町):まめぶ作り体験ができる観光施設。地元の人の指導のもと、実際に作って食べることができます。
  • 久慈秋まつり:毎年秋に開催される祭りでは、まめぶ汁の屋台が多数出店し、地元の味が堪能できます。

お取り寄せも可能

最近では、冷凍やレトルトタイプの「まめぶ汁」がインターネット通販やふるさと納税の返礼品としても販売されています。楽天やAmazon、また久慈市のふるさと納税ページなどから購入することができます。

まめぶ汁と岩手の食文化の未来

食育・観光資源としての注目

まめぶ汁は、単なる郷土料理にとどまらず、地域文化を学ぶ食育素材としても注目されています。地元の小中学校では給食で提供されるほか、家庭科の授業でも取り上げられるなど、若い世代への継承が行われています。

観光と地域活性化への貢献

『あまちゃん』をきっかけに全国区となったまめぶ汁は、観光資源としても重要な役割を果たしています。久慈市ではまめぶ関連のイベントやグルメフェアも定期的に開催され、まめぶ汁を通じた地域の活性化が図られています。

まとめ:まめぶ汁は「食べる民俗文化財」

まめぶ汁は、岩手県の自然・風土・歴史・人々の暮らしが生んだ、非常に奥深い郷土料理です。甘じょっぱい不思議な味わいは、一度食べると忘れられないインパクトがあります。

ただの珍料理ではなく、そこには先人たちの知恵や文化、地域社会の絆が詰まっています。岩手を訪れた際は、ぜひ「まめぶ汁」を味わい、その背景にある物語にも触れてみてください。

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